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先進国際課程 新しい研究室の紹介

2025年12月25日(木)

位相幾何学研究室 久野 恵理香 准教授

私は、曲面や3次元ハンドル体の写像類群について研究しています。穴のあいたキャンディや2つの穴をもつドーナツのような身近な対象からも写像類群を考えることができます。

現在は、特に幾何学的群論の観点から写像類群を調べることに興味を持っています。幾何学的群論の考え方は、ネットワークの大域的な幾何構造の研究や、ロボット工学における配置空間 の研究、さらにはデータ解析や機械学習に現れる空間の研究にも利用されています。

幾何学的群論において、最も重要な問題の一つとして「有限生成群の擬等長分類問題」があります。2つの有限生成群が擬等長的であるとは、大まかに、それらの語距離が線形関数の差を許して等しくなるということです。幾何学的群論の面白い点は、等長ではなく、擬等長という粗い尺度で測ることにより、無限群の性質が次々と明らかになっていくところです。

現在、写像類群と擬等長的になる群や空間はわずかしか知られていません。そこで私が疑問に思っていることは、「どの群や空間が写像類群と擬等長的になるのか?」という問題です。この大きなテーマを軸に、写像類群について解明し、理解を深めていきたいと思っています。